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インバウンド市場でのイスラム教徒の存在感

「統計で見るインバウンド」シリーズの第四弾です。

最近、インバウンド市場ではイスラム教徒への対応が叫ばれています。
イスラム教徒は「ムスリム」とも呼ばれます。

お祈りの場所が必要であったり、宗教的に口にできないものがあったりと、特別な配慮が必要だからです。
みなさんも「日本を訪れるイスラム教徒が増加している」というニュースを耳にしたことがあるのではないでしょうか?

ハラル等のイスラム教特有の決まりごとについては別の機会にご紹介するとして、今回は定量的なデータからイスラム教徒がどの程度日本に来ているのか見ていきます。

とはいえ、訪日外国人を宗教で区切った統計は存在しないので、各種統計資料から弊社が独自に算出した推計であることご了承ください。

イスラム教徒はどれくらい来ているのか

まずはこちらの表をご覧ください。

訪日ムスリム①

米シンクタンクのピュー研究所(Pew Research Center)は、人口に占めるイスラム教徒の割合(ムスリム率)を国別で発表しています(2010年時点)。

ここでは日本政府観光局が公表している訪日外国人の国籍(全36ヶ国)を、ムスリム率が高い順に並べました。
14年の各国の訪日外国人数にムスリム率を掛け合わせたものを「訪日ムスリム数」として算出しています。

14年の訪日ムスリム数の合計は約54万人で、訪日外国人数1,300万人で割ると、その割合は約4%です。
訪日外国人の中でもイスラム教徒はまだまだ少数派と言えそうです。

なお、日本政府観光局が公表している36ヶ国には、一般にムスリム率が高いとされる中東諸国や北アフリカ諸国がほとんど含まれていないため、実際の割合はもう少し高い可能性もあります。

イスラム教徒はどれくらい増えているのか

次の図は、先ほどと同様の手法で2010年の訪日ムスリム数を算出し、2014年と比較したものです。

訪日ムスリム②

2010年から2014年にかけて、訪日外国人数は56%増加しました。
それに対し、訪日ムスリム数の増加率は78%なので、平均より速いペースで増加していると言えそうです。

「インバウンド市場の現状と訪日外国人の増加要因」で触れたビザの緩和によって、マレーシアやインドネシアからの訪日外国人が増加したことが影響しているのでしょう。

イスラム教徒はこれからも増えるのか

ピュー研究所の予測によれば、世界の人口に占める宗教の割合において、2070年にイスラム教はキリスト教に追いつきます。

訪日ムスリム③

ムスリム率が高いアフリカで人口増加のペースが速いこと等が要因としてあるようです。
キリスト教の人口も増加していますが、イスラム教の方が勢いがあります。

この世界的なトレンドを考慮すると、今後も訪日ムスリム数は増加するのではないかと思います。

今取り組むべきか

まず、日本が国として、イスラム教徒の方々が気持ちよく旅行できるようにイスラム教徒対応に今取り組むべきか。

これについては完全に「YES」だと思います。
日本が観光立国を目指す上で、避けては通れない道です。

一方、ビジネスの観点から、個々の企業がイスラム教徒対応に今取り組むべきか。
これについては慎重に判断する必要があると考えます。

弊社では外食企業を中心にインバウンド対応のお手伝いをしていますが、イスラム教徒への対応が企業の利益に直結するとは限らないため、現在のところイスラム教徒対応をご提案することはしていません。

例えば、イスラム教ではアルコールの使用が禁じられています。

飲食業界において、お酒は利益率の高い貴重な戦力です。
お酒を頼むつもりだったお客さんが、お酒がないために水やソフトドリンクで我慢するようになれば、客単価の低下は避けられません。

また、アルコールを含むのはお酒だけではありません。
味噌などの発酵食品も製造過程でアルコールを発生するため、場合によっては代替品を使用する必要があります。

このほか、豚肉の扱いなどにも特別な対応が必要です。

宗教的な決まりごとについて、どこまで厳格に取り組むかは個人によって異なりますが、イスラム教徒対応に掛かる費用と得られる利益、この費用対効果を検証することが重要です。

フレンバシーのサービス

弊社では、ベジタリアンやビーガンが関係する市場で、様々なサービスを展開しています。

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