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訪日中国人の消費単価が減少している理由

前回の記事では、訪日中国人の1人当たりの消費単価が低下傾向にあることを説明しました。

内容を簡単にまとめると、
・訪日中国人の数は増加を続けている
・しかし、27年4-6月以降、中国人1人当たりが日本国内で消費する金額は減少している
・28年4-6月には、訪日中国人の消費額の合計が前年同期(27年4-6月)を下回った
・爆買いの恩恵を受けてきた百貨店の業績が軒並み不調
・これにより、「爆買い終了」のニュースが飛び交っている

<参考>
中国の爆買いはそろそろ終わるのか?

今回は、なぜ訪日中国人1人あたりの消費額が減少しているのかを考察します。
ただし、要因は複数あり、それぞれの影響力を比較することは困難なため、
「影響を与えた可能性がある要因」を片っ端から列挙していくことにします。

消費単価に影響を与える要因

①円高(中国元安)

旅行者が海外でお金を使う際、最も分かりやすく影響するのが為替レートです。
次の図は、15年1月以降の中国元と円の為替レートの推移を示したものです。

中国元のレート

線が下に行くほど「円高」を表しています。

例えば、15年7月に1中国元を銀行に持って行くと、20円と両替してくれました。
しかし、1年後の16年7月に1中国元を銀行に持っていくと、もらえるのは15.5円です。

1中国元の価値が20円から15.5円に下がったので、「中国元安」となります。
逆に言うと、日本円の価値は中国元に対して上がったので、「円高」です。

日本円で2万円の商品を買うとき、15年7月には1000元で済んだところ、
16年7月では1290元払わないといけません。

中国元での予算に変化がなくても、為替レートが安くなれば日本円で使える金額は少なくなってしまいます。

②越境ECの発達

中国人が日本で「爆買い」する理由は、主に次の2つです。

①中国では手に入らない
②中国で買うより安い

「爆買い」の大部分を占めると言われるのが、親族や友人のための買物(お土産)です。
同じ商品を何個も抱えた中国人観光客を目にしたことがある人も多いのではないでしょうか。

なぜ、わざわざ日本に旅行に行く人に買物を頼むのかというと、その理由の一つが「中国では手に入らないから」です。

しかし、この状況は変わりつつあります。

「越境EC」という言葉を聞いたことがあるでしょうか。

越境とは、国境を越えるという意味です。
ECは電子商取引と訳されますが、分かりづらいので「インターネットでの買物」と考えていいでしょう。

つまり、インターネットで海外から買物することを「越境EC」と呼んでいます。

この越境ECが最近の大きなトレンドとなり、日本の商品が中国からでもネットを通じて購入出来るようになってきました。

越境EC専用の通販サイトが次々に立ち上がっており、売買金額も増加しています。

下図で予想されているように、今後も越境ECの市場拡大は続くでしょう。

あらゆる商品が中国からネットで買えるようになれば、わざわざ旅行に行く人に頼む必要もなくなります。

越境ECでの取引は「訪日外国人の消費」ではなく「貿易」にカウントされるので、統計上は訪日中国人の消費が減ったように見えるのです。

③関税強化

16年4月から、中国政府は旅行者が海外で購入したものを国内に持ち込む際の関税を引き上げました。

主な引き上げは以下の通りです。
・酒 50%→60%
・化粧品 50%→60%
・高級時計 30%→60%
・食品 10%→15%
・衣類 20%→30%

中国人が日本で爆買いする二つ目の理由は、「中国で買うより安いから」でした。

これは、日本からの輸入品に高い関税が掛けられているためですが、旅行者が持ち帰った商品にも高い関税が掛けられるようになれば、人に頼んで買ってきてもらう理由がなくなります。

この関税の引き上げは直近の話なので、これからさらに影響が出てくるかもしれません。

以上、訪日中国人の消費単価が減少している理由について見てきました。
業種や地域によっては、外国人消費が生命線となっているビジネスも増えてきています。

中でも、中国からの旅行者の消費動向は一番影響力があるので、今後も動向に注目ですね。

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