インバウンド(訪日旅行)業界に関する講演やプレゼンをさせてもらうと、必ず頂く言葉があります。
「2020年の東京オリンピックの年が勝負ですね!」
これは否定しません。
東京オリンピックへの注目が、今のインバウンド業界の追い風になっていることは確かです。
一方、次のような質問も頂きます。
「2020年の後はどうするんですか?」
こちらは弊社からすると、”謎”の質問です。
暗に「2021年からは訪日観光客が減少する」という前提に立っているからです。
実際、これは多くの皆さんがインバウンド業界に対して抱いているイメージだと思います。
では、その根拠はどこにあるのでしょうか?
少し冷静になって、考えてみて欲しいのです。
「なぜ2021年から訪日観光客が減るのか」
おそらく、インバウンド業界は”バブル”のようなイメージを持たれているのだと思います。
そして、バブルはいつか弾ける。
それが、東京オリンピックが終わったタイミングだと。
では、本当にインバウンド業界はバブルなのでしょうか?
残念ながら未来のことは誰にもわかりません。
なので、少し過去を振り返ってみましょう。
これまでのオリンピック
上の図は、過去5回のオリンピック開催国の外国人観光客数の推移です。
出典は世界銀行のWorld Development Indicatorsです。
95年から14年(最新)までのデータが公開されているため、96年のアトランタ五輪から取り上げました。
今年リオ五輪が行われたブラジルは、まだデータが出ていないので省いています。
オリンピックが開催された年は赤く印をつけています。
事実として、アトランタ五輪以降、「オリンピックが開催された年」と「2014年(最新データ)」を比べて、海外からの観光客数が減少した国はありません。
短期的に多少の増減はあれど、中長期的には観光客は増えています。
補足ですが、08年の北京五輪の直後、中国の外国人観光客数は減少しました。
これはリーマンショックによる世界不況と重なるので、特殊要因と見ていいでしょう。
中国だけでなく、他国の外国人観光客数も減少しています。
増加する海外旅行者数
「オリンピックが終わる」=「外国からの観光客が減少する」という単純な話ではないことはご理解頂けたと思います。
では、なぜオリンピック開催国の外国人観光客数は、オリンピック後も増加しているのでしょうか?
各国それぞれの事情はあると思いますが、大前提として、世界で海外旅行する人口が増加しているということが挙げられます。
こちらの図は、世界全体の海外旅行者数の推移です。
出典は先ほどと同じく、世界銀行のWorld Development Indicatorsです。
ほぼ右肩上がりで増加し、14年は約12億人に達しました。
ご存知のように、世界の人口は増えています。
そして、発展途上国や新興国と呼ばれる国の経済水準が上昇し、海外旅行に行く余裕のある人口も増えているのでしょう。
日本のインバウンド業界の未来
もちろん、「過去のオリンピック開催国は外国人観光客が減少しなかった」という事実をもって、「日本も海外からの観光客が減らない」と断言することはできません。
あくまで過去は過去、日本が例外にならないという保証はどこにもないからです。
例えば、以下のような条件であれば、東京五輪後に観光客は減少するでしょう。
- 実は観光客を惹きつける日本の魅力はオリンピックに関連するものだけであり、オリンピックが終わればそれらが全て消滅する
- 世界中の人が日本旅行を避けるほど、超円高になる
- 日本が戦争に突入する
- 大地震が起きて、日本への不安が高まる
- 世界的な大飢饉が起きて、世界の人口が減少する
- 世界的な恐慌が起きて、海外旅行する余裕のある人が減少する
仮定の話として物騒なものも入っていますが、いずれも有り得ないとは言い切れません。
インバウンド事業者としての責任
ここまで、少し回りくどい書き方をしました。
要は、弊社は東京オリンピック後も訪日観光客を増加させられると考えています。
ただ、訪日客が増加している現状にあぐらをかいていいわけではありません。
今来てくれている人たちに満足して帰ってもらい、リピーターになってもらう。
これが私たちインバウンド事業に関わる企業が責任を持ってやるべきことだと考えています。
どこの国も観光客に来てもらってお金を落としてもらいたい。
しかし、一人の旅行者が海外に行ける回数は限られている。
つまり、観光客獲得は国家間の競争です。
海外旅行人口が増えている状況において、自国への観光客が減るというのは、この競争に負けたということです。
世界には観光するのに素晴らしい国がたくさんありますが、日本は決して劣っていないと信じています。
私たちの目標は常に、「世界中に日本のファンを増やす」ことです。
それはリピーターを増やすことでもあります。
そのために、私たちは現在、VegewelとVegewel Styleというサービスを運営し、食の制限がある人たちの受け入れ環境を整える活動をしています。
フレンバシーのサービス
弊社では、ベジタリアンやビーガンが関係する市場で、様々なサービスを展開しています。
何かお困りごとがあれば、ご遠慮なくお問い合わせください。