ここ最近、インバウンド関連のニュースで「中国人の爆買いが終息しつつある」というのをよく目にするようになりました。
<参考>
・爆買いが突然消滅…全大手百貨店、連続売上増天国が逆回転で連続売上減地獄突入(Business Journal)
・中国人の「爆買い」が急速に縮んでいる理由(東洋経済ONLINE)
これまで爆買いの恩恵を受けてきた百貨店の売上が、去年と比べて下がっており、こうした記事のきっかけとなっているようです。
今回は、百貨店の売上とは異なる観点から、訪日中国人の消費(爆買い)がどういう状況にあるのか見ていきたいと思います。
訪日中国人の人数
まず、前提として、訪日中国人の数は増え続けています。
このグラフでは四半期ごとの数字を使っています。
一見すると、訪日客数が増えたり減ったりとバラバラな動きに見えますが、そうではありません。
中国の場合、年始から徐々に訪日する人が増え、夏休み頃にピークを迎え、その後一旦減少するというサイクルです。
このような時期による特徴的な変化を「季節性」や「季節変動」と呼んだりします。
季節性があるデータの場合、前の四半期と比較するのではなく、前年の同じ四半期と比較してください。
ここ2年ほどは常に前年より増えていることがお分かり頂けるかと思います。
訪日中国人の消費
次のグラフは、訪日中国人が日本国内でいくらお金を使ったかを示したものです。
こちらも訪日中国人の数と同様に、増え続けてきました。
しかし、直近の28年4-6月は、前年の27年4-6月と比べて少し下がってしまいました。
この辺りが、最初に述べた百貨店の売上と関係しているのでしょう。
「訪日中国人の消費」=「訪日中国人数」×「訪日中国人1人当たりが使う金額(消費単価)」なので、これも季節性のあるデータです。
訪日中国人の消費単価の減少
昨年の同時期より人数は増えたのに、消費額が下がったということは、「訪日中国人1人当たりが使う金額(消費単価)が下がった」ということです。
これが「爆買いが終わる」と叫ばれる理由でしょう。
では、訪日中国人の消費単価の減少は、28年4-6月に突然発生したのでしょうか?
次の図は、「訪日中国人の消費額」を「訪日中国人の人数」で割り、「訪日中国人の消費単価」を算出したものです。
これを見ると、消費単価は27年1-3月をピークとして、その後下がり続けていたことが分かります。
すでに前兆はあったということです。
しかし、消費単価の低下よりも人数増加のインパクトが大きく、消費額全体としては増え続けていたため、あまり問題視されることはありませんでした。
28年4-6月は、消費単価の低下が、人数増加のインパクトを初めて上回ったということです。
なお、「訪日中国人1人当たりが使う金額(消費単価)」は季節性があまり無いと仮定し、「前の四半期」と比較して議論することにします。
何の単価が下がったのか
前述の消費額や消費単価には、宿泊代や飲食費、交通費、買物代など様々なものが含まれています。
一般に、「爆買い」は「買物」を指すことから、訪日中国人の買物代に限定して推移を見てみましょう。
金額の横のパーセンテージは、前の四半期と比べて何パーセント増減したのかを示しています。
訪日中国人1人が買物代に使う金額は、28年4-6月では12.8万円、28年1-3月と比較すると16%も低下しました。
内訳をみると、「カメラ・ビデオ・時計」や「電気製品」の購入単価が大きく下がっています。
中国人の買物金額が減少傾向にあるのは事実のようです。
次回の記事では、なぜ消費単価が下がっているのかを考察したいと思います。
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